やばい!! 少年法「改正」
●少年法ってどんな法律?
●2000年の少年法「改正」――厳罰化!!
●2007年「改正」案――さらなる厳罰化と、警察権力の強化!!
●私たちは少年法「改正」に反対です
●いま、本当に必要なことは?
⇒パンフレット(PDF/約1.1MB)
 「少年法」は、子どもの健やかな成長を願って、憲法、教育基本法と共通した理念に基づき、1948年につくられました。
 生まれながらに犯罪者という子どもはいません。子どもが事件を起こす背景には、親や社会から、自分が大切にされた、愛されたという体験が少ないケースがほとんどです。そのような子どもたちにただ刑罰を与えても、子ども自身の更生にも、犯罪の予防にもつながらないことから、大人の法律と別に「少年法」が定められています。
 子どもは、まだ成長過程にあり、どんどん変わっていく存在です。つまずきながら、ときには過ちを犯しながら成長していきます。子どもには、大人のような刑罰ではなく、育て直しが必要というのが、「少年法」の理念です。
少年法って?/イラスト 問題を起こした子どもは家庭裁判所の非公開の場で、事件の背景などを十分に調査したうえで、それぞれの子どもの更生にもっともふさわしい処遇が考えられます。少年院、児童自立支援施設(旧・教護院)、保護観察(保護司の監督を受けつつ家庭で生活)などの処遇があります。
ズシーン/厳罰化で押し潰される子ども/イラスト
●14歳以上が「刑罰」の対象に
それまで、大人と同じ裁判を受けるのはどんな場合でも「16歳以上」でしたが、ケースによっては14歳でも可能とされました。
●16歳以上の「原則」逆送
16歳以上の少年が、故意に被害者を死亡させた場合は、原則として大人同様の裁判を受けさせることになりました。
●少年審判の場に検察官
少年審判の場に、ケースによって検察官が立ち会うようになりました。
子どもが事件を起こす背景をまったく考えない厳罰化――。これでは、子どもは本当のことも言えず、自分の罪に向き合うこともできず、反省だってできないし、犯罪防止にもつながらない!
●誰でも警察が調査できる
少年法では、14歳未満の子どもは、福祉的な分野で「育て直し」をすると定めています。
「改正」案では、どんなに小さい子どもも警察が取り調べることを可能にし、さらに「将来犯罪を犯す可能性がある子ども(ぐ犯少年)」になる可能性がある子ども(つまり誰でも?!)を警察が取り調べることができるとしています。
調査対象には、親も学校も入ります。警察に求められれば、親も学校も子どもをチクらなければならなくなります。常に警察に見張られている暮らしは怖くないですか?
味方がいない!/監視される子どもたち/イラスト●小学生でも少年院へ
いまは、少年院に行くのは14歳以上です。小さな子どもには、厳しい集団生活より、家庭的な場での育て直しが必要との考えから、14歳未満は福祉施設である児童自立支援施設等で処遇されます。 ところが、「改正」案では年齢制限をはずし、どんなに小さい子どもでも少年院に行かせることを可能にしています。「子どもを育てる」という視点はまったくありません。
●言うことを聞かないと少年院へ
「保護観察処分」になった子どもは、保護司さんのもとで更生していきます。保護司さんと少年たちの間に信頼関係があることがとても大事です。
「改正」案では、少年が保護司さんとの約束を守らなかったら、少年院に入れることができるとしています。これでは、保護司さんと少年の信頼関係は築けず、子どもは更生などできません。

私たちは少年法「改正」に反対です
●少年犯罪は増えていない
 少年法を「改正」しようと考える人たちは、少年犯罪が増加・低年齢化・凶悪化していると言います。しかし、実際には少年犯罪は、増加も、低年齢化も、凶悪化もしていません。マスコミ報道などによるイメージに惑わされずに、きちんとした事実を見ることが大事です。
●子育てを警察に委ねていいの?
 「子どもを育てる」ことは大人や社会の責任です。子どもは、様々につまずきながら成長していきます。そんなときに、ただ厳しい罰を与えるだけで、子どもは育つでしょうか?  何でもかんでも警察の手に委ねるというのは、とても安易な方法で、大人の教育責任の放棄です。そして、警察が常に個人を監視し、取り締まる社会は、とても危険な社会と言えます。私たちは、少年法「改正」は、“共謀罪の子ども版”だと考えています。監視、管理し、子どもたちを統制する社会。子どもたちだけではなく、子どもを突破口にして、大人もさらに管理・統制されていきます。
●世界の流れに逆行
 2000年の少年法「改正」に対して、国連子どもの権利委員会は、「子どもの権利条約の精神に反するものである」として、見直しを求めています。
いま本当に必要なことは?
 子どもの犯罪をなくしたいと考えるのであれば、いま最も必要なことは、子どもたちが安心して成長できる環境を整えることです。
●連携が大切
 いま、子どもをとりまく制度、環境はブチブチ切断されていて、一貫して子どもを見守るシステムがありません。加えて、それぞれの施設は手いっぱいの状態です。
 少年法「改正」という一時しのぎにもならない小手先の政策ではなく、教育や福祉にこそお金をかけて、子どもの育ちを見守っていくシステムをつくることが大切です。
●親への支援
 子どもの育ちに家庭環境はとても大事です。その環境を保障するには、親を罰することではなく、親が安心して子育てできるための環境整備をすることが国の責任といえます。
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少年法「改正」問題を広めてください。
パンフレットご利用の方は、子どもと法・21までご連絡ください。
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2007.04
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