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パブリックコメントを送付しました。

(子どもと法・21では「少年法の対象年齢引下げに関する意見募集」に対して、2015年12月15日、法務省に「少年法対象年齢引下げ反対の意見書」を送付いたしました)

少年法対象年齢引下げに反対します。

罪を犯すに至る多くの少年の環境には問題があり、ほとんどの少年は虐待などの経験があり、人を信じることが難しくなってしまっています。それはその少年の責任というより、そういう社会を作っているおとなの責任だと思います。

そういう罪を犯してしまった少年たちが、もう一度社会で人との関係を作って自立して生きていける機会を作るために少年法が作られました。これは少年だけでなく、社会全体にとっても安心を作ることに寄与しました。

どの時代にも少年は社会に反発し、非行に走る子もいます。しかし、日本では17歳になると、犯罪を犯す少年の数は激減します。それ以降も犯罪を繰り返す少年の背景には、より深刻な状況があり、少年院に送られるのはこの年代の少年が圧倒的に多いのです。少年院は成人として送り出す前の最後のチャンスとして少年法の下で人間関係の作り直しをするためにあり、そしてそれが機能しているから、日本では青年、成人の犯罪数が少なくなっているのです。

少年法対象年齢が引き下げられると、たとえ特例措置が取られたとしても実名報道がなされます。実名報道は本人にとっても、その家族にとっても、日常生活を送る上で影響が大きく、人間関係を作る上でも、自立するために仕事をしようとしても、社会の中で受け入れられる幅が狭められてしまうことになります。

特に、今のようなネット社会の中では情報が拡散されやすく、更生がさらに困難になると思います。

特例措置が取られた場合でも、実名報道がされれば本人やその家族のみならず家庭裁判所や少年院などとにも混乱をもたらし、本来の処遇ができなくなる虞れが大きいと思います。

少年法の対象からはずれると、これまで少年法の下で、犯罪そのものでなく、少年が罪を犯すにいたった背景や、環境について調べ、更生し自立して社会に送り出せるように考えられてきた処遇は受けられなくなります。

多数は不起訴や罰金になると思います。少年院や保護観察などで人間関係の結び直し、自分に向き合うなど、少年院の職員や保護司の方たちがこれまで培い、実践してきた処遇は受けられず、そのまま社会に放り出されることになるのです。

刑事裁判所に公訴提起される場合には、少年という特例はなくなり、成人同様の刑事罰で処せられることになります。現在の刑務所の処遇は、懲罰であり、育てなおしに寄与するものではありません。執行猶予になる場合も多いと思いますが、保護観察付執行猶予以外は保護的手当はされず放置されます。なお執行猶予と罰金は前科になり、それ自体が仕事や社会生活の妨げになりかねません。

放置と刑罰、いずれも更生に資するものではなく、逆に再犯する確率が高くなると思います。日本では、現在は青年の犯罪は少年の犯罪に比べて減っていますが、それが逆転するおそれは大きいです。社会不安をそれだけ増長することになります。少年だけでなく、社会にとっても大きなマイナスです。

以上のことから、少年法対象年齢引下げに反対します。


(子どもと法・21ホームページ管理人の意見として送付いたしました)


- 子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会 (子どもと法21) - 関連サイト 事務局通信
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