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子どもと法・21連続学習会報告

少年法「改正」を考える 〜家裁調査官・元裁判官&保護司〜

日 時: 2005年12月18日(日)
場 所: 神楽坂エミール
お 話: 小林一善さん(家裁調査官・全司法)、
      北澤貞男さん(元家裁裁判官)
      東本久子さん(保護司)
コーディネーター: 佐々木光明さん(神戸学院大学)
共 催: 触法少年研究会
                            
ご参加下さった皆さん、お疲れ様でした。70名近い方が参加して下さり、会場いっぱいとなりました。今回初めて子どもと法・21の学習会に参加していただいた方も多く、HPを見て来てくださった学生さんもいて、幅広い参加層の学習会になりました。専門用語なども出てきた学習会だったので、初めての方には少し難しかったでしょうか。
今回の学習会は、調査官、元裁判官、そして保護司という現場で活躍されている方のお話を中心にお聴きしましたが、やはり現場の方々の発言からは訴えるものがありますね。今回の「改正」の問題点が改めて浮かんだように思います。佐々木さんのコーディネートも的確で、暖かい雰囲気の学習会となりました。
以下、簡単に学習会の報告です。

  1. 佐々木光明さんから
    2000年少年法「改正」の内容・問題点、そして今回の少年法「改正」法案の内容・問題点をわかりやすく説明していただきました。
    少年法の問題は、教育など様々な社会問題と関わっている。憲法問題とも連動しているというお話が印象的でした。
    また、佐々木さんの適切で安定感のある進行で、中身の濃い学習会となりました。
     
  2. パネリストの発言
    • 北澤貞男さん(元家庭裁判所裁判官)
      発言原稿をご覧ください

    • 小林一善さん(家裁調査官・全司法)
      小林さんの真面目ながらも、ちょこちょことユーモアまじりのお話を、楽しく聞かせていただきました。
      でもお話の内容は大切なことばかりで、00年「改正」の問題、今回の「改正」法案の問題、家裁の現状をお話いただきました。
      00年「改正」問題では、3人合議制になり、1人の裁判官の意見がそのまま結論に反映されることはなくなったが、世間の目を気にするようになった気がするというご意見をいただきました。また、「最近家裁は考えなくなった」という言葉には考えさせられるものがあります。
      今回の「改正」案については、法制審議会に付されるまえに、全国の家裁が意見を求められ、裁判官、調査官、書記官、事務官などが相談して回答したが、賛成意見の回答が多かったとのこと。小林さんは反対の意見も書いたそうですが、反映されなかったとのことでした。
      警察の調査については、少年は自分の事情を適切に語ることがむずかしい、14才未満の子どもになればもっと無理ではないか、という意見を伝えてくださいました。
      今回の法案について、「保護観察の選択肢が広がっているだけで、それはいいことではないか」という意見を聞くが、この意見は本質的な問題を考えていない意見だとお話され、なるほど〜と思いました。

    • 東本久子さん(保護司)
      東本さんからは、ご自身の関わってきた事例をもとに、とてもわかりやすく、でも忘れてはいけない大切なことをお聞きしました。
      子どもをみんなで守ろうという風潮が後退した現代、なんでもかんでも警察にお願いし、悪いことをすればすぐ少年院という社会は我々自身が行きづらい社会。子どもを受け止めることが必要である。今の大人たちは子どもに対するまなざしがあまりに感情的ではないか、という訴えには大きく頷いてしまいました。
      • やることが見つからないと子どもは夜出歩くようになる。どんな大人になりたいかを考え、努力するようになれば、子どもは変わる。
      • はじめは遵守事項を守らなくなって、保護司に信頼をよせてくれるようになれば、彼らは変わる。子どもと信頼関係を築いていけば、何でも話してくれる。
      • 皆、普通の子どもたち。私の関わった子どもたちのほとんどが「ふつうの大人」になっている。

      こうしたお話をしてくださる東本さん。もしこの「改正」法案が通ってしまったとしたら、子どもをチクるような保護司にはなれないということで、保護司を辞める決意とのこと。東本さんを辞めさせないためにも、なんとしても「改正」をとめないと!と、会場からも発言がありました。

  3. 石井小夜子さん(弁護士)から
    石井さん作成の資料「少年犯罪統計」、「少年刑法犯の年齢層・罪名別検挙人員」を見ながら、少年事件に関する事実を知ることの重要性や、事件数の推移、罪種別推移などを説明いただき、言われ続けている少年犯罪の増加、凶悪化、年少少年の非行の増加は現実にはないことを示していただきました。

  4. 会場からの発言
    最後に時間が少なくなってしまいましたが、それでも会場から10名近い方からの発言・質問がありました。
    日弁連・子どもの権利委員会の弁護士さんからも国会情勢などの情報を伝えていただきました。
    また、定時制高校の先生からも発言があり、「あれをするな、これをするな」とやってはいけないことばかりを教える学校になっている今の状況、そして定時制高校の生徒たちが授業後、コンビニで立ち話をしているだけで補導されかねない「改正」法案の怖さを指摘していただきました。
以上、簡単に報告させていただきました。これからも、いろいろな学習会・集会を持ち、この問題を広めていかねばと思います。頑張りましょう。
最後になりましたが、佐々木さん、北澤さん、小林さん、東本さん、そして参加いただいた皆さん、どうもありがとうございました。


− 子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会 (子どもと法21) − 関連サイト 事務局通信
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