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2008年6月3日
子どもと法・21(子どもの法制度と育ちを考える21世紀市民の会)

 少年審判に被害者等の傍聴を認めることなどを内容とする少年法「改正」案が、政府案を修正した上、2008年5月30日衆議院法務委員会で、同年6月3日衆議院本会議で可決された。
 本法案は、子どもと法・21が2008年5月9日に出した「審判への被害者等の傍聴等を内容とする少年法「改正」案について反対します」に詳述されているように、少年法の根幹にかかる「改正」である。
 法案は、5月22日に衆議院本会議で、同23日に衆議院法務委員会で趣旨説明が行われたが、その後2回の審議という極めて短時間で可決された。このような短時間で可決されたのは、与党と民主党との修正協議が行われ、与党が民主党の修正案を「丸呑み」する形で受け入れたことからである。法案は参議院に回され、今通常国会で成立する見込みという。
 修正案は、根本的な問題を全く解決しない。
 少年審判は非公開である。それは少年法の目的を十分に叶わせるためである。
 少年法の目的は当該少年の「健全育成」(1条)である。そのためには、少年が事件に向き合い、自分に向き合うことが大切である。このことを少年法は「審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない。」(少年法22条1項)とする。
 これらは対話をとおして行われる。さらに、少年事件は成人とは異なって深くプライバシーにかかわる資料を収集・分析するが、それらも審判の場に提出される。そのために、審判は非公開なのである。
 被害者等が審判を傍聴することになれば、審判は形式的なものになってしまう。少年の内省は深まらず、少年法1条の目的には沿わなくなってしまうおそれが大である。少年法は1条の理念があるからこそ、機能してきた。この理念を崩してしまいかねないのが本法案である。
 こうした本質的な議論については、形式的になされただけで、しかも不十分なまま、本法案が衆議院で可決された。
 被害者等については2000年「改正」法の運用を適正にすることである。また、被害者の権利保障は、少年審判の傍聴等でなく、別途、きちんと保障されるべきである。
 わたしたちは本法案には反対である。少年法の趣旨をきちんと踏まえ、今後は、慎重で徹底した審議を求める。

− 子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会 (子どもと法21) − 関連サイト 事務局通信
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