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少年法「改正」法案が2008年6月11日に可決
2008年6月27日
子どもと法・21(子どもの法制度と育ちを考える21世紀市民の会)

 少年法「改正」法案が2008年6月11日に可決された。声明にあるように少年法の根幹にかかる改悪である。少年法は加害少年の健全育成(更生)を目的とし、少年審判では裁判官が対話を通して少年の内面に向き合い、処分を決める。少年法では「審判は、懇切を旨として、和やかに行う」(22条)と審判の基本が書かれている。衆参の参考人質疑では、被害者の傍聴について「少年が心理的に委縮し、事実関係の説明や心情を語ることが困難になる」「(審判廷の家庭的な雰囲気 が)被害者に対する配慮から不可能になる」などの意見が出された。政府案に対し民主党から修正案が出され、それにそって修正された。

修正案の内容は次の通り
(1)被害者等による少年審判の傍聴について、「少年の健全育成を妨げるおそれがない」ことを判断基準として明示する。

(2)審判廷における少年の心身に及ぼす影響等へ配慮する。

(3)家庭裁判所は、被害者等の少年審判の傍聴を許すには、あらかじめ、弁護士である付添人を付さなければならない。

(4)(3)の場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、家庭裁判所は、弁護士である付添人を付さなければならない。

(5)12歳未満の少年に係る事件を傍聴の対象から除外する。

(6)触法少年の特性に配慮する。

(7)家庭裁判所は、被害者等から申出があるときは、相当でないと認める場合以外は、審判の状況に関して被害者等に説明しなければならない。

(8)施行後3年を目途として、施行の状況について検討を加え、必要な措置を講ずる。
ただ、修正の結果以下の問題点もでてきた。
  1. 「少年の健全育成」は?
    修正では傍聴を認める基準として、《少年の健全育成を妨げるおそれがなく、相当と認めるとき》とされ、修正案提出者から、これによって、傍聴の条件が厳しくなり、裁判官の判断余地が広くなると解釈する、との回答があった。
    しかしこれによって根本的な問題は解決した訳ではない。そもそも審判前に、「健全育成をさまたげるおそれがない」とどうしてわかるのか疑問であるし、むしろ全件に「健全育成を妨げる怖れがある」と判断するのが妥当ではないかと思える。被害者側から言っても、これで納得できるであろうか?等の疑問がある。

  2. 審判状況の説明 
    修正により、「被害者から申し出がある場合は、家庭裁判所は審判期日における審判の状況を説明する」という条文が加わったが、これは大問題である。傍聴の代わりに説明をという流れだったが、傍聴と説明という二つが入ってしまった。これは家裁にとって大きな負担になる。誰が対応するかの吟味の必要もある。

  3. モニターの導入
    議会では否定されたが、積極説は多く、附帯決議で導入の可否について検討を行うこととなったので早晩検討事項となるはずである。だが、モニター導入であっても、「審判は、懇切を旨として、和やかに行う」べき審判が、「被害者に対する配慮から不可能になる」危険は減じない。

  4. 調査官増員へ
    今回の「改正」により今でも超多忙な調査官はより超多忙になる。その結果、手抜き調査になっていく怖れが大である。ただ一つ明るい話題として、附帯決議の中の家庭裁判所職員の増員に努めることが入ったことである。

− 子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会 (子どもと法21) − 関連サイト 事務局通信
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