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院内集会 ちょっと待って!少年法「改正」 Part2
片山徒有さん(被害者と司法を考える会代表)


内容:
検察官関与・厳罰化のたどる道
~この法案が成立したら子どもたちはどうなるか?~
○法案解説
○片山徒有さんのお話(被害者と司法を考える会代表)
○参加議員からのご発言
○各団体からのアピール

日時:2014年2月18日(水)11:30~13:00
会場:参議院議員会館 102 会議室
主催:少年法「改正」に反対する弁護士・研究者有志の会
共催:被害者と司法を考える会, 子どもと法・21, 青年法律家協会

2014年2月7日、審判への検察官関与対象事件の拡大と、刑事裁判での刑の引き上げが盛り込まれた少年法「改正」法案が国会に上程されました。2月18日、参議院議員会館で緊急に院内集会を開き、片山徒有さんにお話を伺いました。
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1997年11月、当時、小学校2年生だった息子の隼が、ダンプカーにひき逃げされ、亡くなりました。親として、どういう事故だったのか知りたいと警察に行きましたが、事情を教えてくれませんでした。そこで東京地方検察庁に行きましたが、非常に強い口調で、被害者に答える義務はないと言われました。検察官に強い不信と恐怖感をもちました。
私は毎朝、事故現場に立ち、目撃者と思われる人に声をかけて証言を集め、必ずしも厳罰ではなく本当のことを知りたい、同じような被害者を出さないためにも再捜査してほしいと署名活動をしました。24万人の方から賛同いただき、不起訴処分が取り消しになり、長い期間再捜査がおこなわれ、裁判になりました。起訴後、非常に迷いましたが、最終的に検察側証人としてお話する選択をしました。それは、いろいろな意味で勉強になりました。事件を客観的に見ることや、この国の検察官が背負っている職責。検察官は、何が何でも事件化すると思えば証拠を作り上げる能力に長けている、冤罪を生みかねない危険性をはらんでいると感じました。

■被害者として、子どもたちと出会うなかで

今回の法案の論点は三つですが、国選付添人制度の拡大は良いことだと思います。一方で、被害者に弁護士がつく制度は起訴後であり、事件直後につきません。双方ともに早期に回復に向かうよう、公的な弁護士をつけて頂きたいと思います。
検察官関与制度の拡大は反対です。「被害者と司法を考える会」の中で話し合い、そもそも少年事件に逆送自体がいらない、検察官関与をやめればいいと考えました。刑の引き上げも反対です。
被害者の視点を取り入れた教育が法務省で始まり、私は外部協力者として各地の少年院や刑務所に出かけています。少年院は全国で52施設あり、そのうちの16施設に行っています。刑務所も同じくらいあります。講和をしたり、問題別に集められた子どもたちにヒントを出していくやり方もあります。個別指導もあります。私の持っているテーマは簡単で、「被害者を出さないためには、どうしたらいいだろう。一緒に協力してもらえますか」ということです。そして、全体のテーマとして、みんなに幸福になってもらいたい、何かあったら面倒みるよと言っています。実際に、年に何人か訪ねてきてくれるようになりました。非常にありがたいことかなと思います。少年院のプログラムを妨げることなく、回復に向けてお手伝いしたいと考えて、続けています。
被害経験者の人が少年院に行くようになり、行った人はみな感銘を受けています。少年であっても加害者であれば非常に暴力性があり、人の話は聞かないと思っている人が多いのですが、実際に行って話をしてみると、話も通じるし、自分の意見に涙をしてくれた…といったことが伝わってきます。

■春、夏、秋、冬―子どもにとっての1年の意味

少年院に行って気づくのは、随分子どもが減っていることです。短期処遇の子どもが減り、判で押したように11ヶ月の処遇の子どもが一般的です。ただ、とても長い期間いる子どももいます。10数年しか生きていない子どもにとって、2年、3年という期間はとても長い。1年だって春、夏、秋、冬と季節が4つめぐり、それだけ社会生活がなくなるわけですから、リカバリーが大変になると思います。
もっと問題なのは刑務所です。刑務所はひときわ期間が長く、一緒になる人は刑罰も重い人が多く、立ち直りモデルとしての先輩や友達が見つけにくいと思います。一方、少年院はプログラムがたくさんあり、複数の目で少年を見ています。おとなモデルとしての法務教官が非常に優れていますし、友達同士での良い意味での刺激もあります。
これまで、刑務所には教育という考え方がありませんでした。いま、教育専門官といわれる法務教官が教育を根付かせようとしています。一人の教育専門官が数百人の面倒をみないといけない取り組みです。刑務所は、プログラムが新しいことと長期プログラムを行えること以外に良いところは無いように思います。刑務所で子どもたちに出会うたびに、早くこの子を出してあげ、立ち直りの軌道に乗せてあげなければという思いをしております。

■検察官関与拡大と厳罰化をする理由がない

被害者の環境は大きく変わり、被害者支援制度もできましたし、被害者が知りたい情報もかなり手に入るようになりました。被害者等通知制度を利用すると、いつ審判が開かれるか、その結果どうなったのか、どこの施設に送られたのか、どの段階にいるのかといったことを定期的に教えてくれます。仮出院、仮出所段階で意見を言うこともできます。
少年事件そのものは減っています。審判を傍聴したいという被害者の数は、もともと多くなかったのですが、減っています。選択する場合も、残された家族が、努力しなかったら後悔するからと選択するのではないかと思います。少年審判は「四十九日裁判」といわれるくらい、事件の直近に行われます。被害者としては一番心が安定しない時期で、そのときまでに意見を聞かれ、それが一生残るというのは、悲しい、残念なことではなかろうかと思います。
このような中で、更に、検察官関与を広げ、厳罰化しなければならない理由は一つもないと思います。この法案を取り下げ、少年の保護を重点とした2000年以前の少年法に戻す、保護主義を新たに作る動きをとってもらいたいし、「被害者と司法を考える会」でも議論し、対案をつくりたいと思っています。
(文責:子どもと法21通信編集委員会)

- 子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会 (子どもと法21) - 関連サイト 事務局通信
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